Description

ロールスロイス・シルバースピリッツをご案内致します。

　1980年に旧型シルバーシャドウからモデルチェンジされたこのSZ系と称されるモデルは、シャドウと比較してあらゆる面で大きな進化を遂げていました。シャドウとホイールベースこそ同じですがボディは若干サイズが大きくなりましたが、そのデザインは80年代にふさわしい斬新かつ高級車としての魅力を持ち合わせた優れたスタイルで、伝統的な高貴さと洗練された優雅さがさらに増したクルマでした。そして1998年にロールスロイス社がBMWに吸収されるまで18年のなが期に渡り造り続けられました。ロングホイールベース版のシルバー・スパーというモデルも造られ併売されましたから、このスピリッツはいわゆる標準ボデイーと言う事になり、自ら運転するオーナードライバー向けと言えるでしょう。
　
　エンジンは1959年以来使われてきたV型8気筒、OHV／6.7L・L401型エンジンが搭載されています。初期型のモデルにはキャブレターが装備されていましたが、当年式はボッシュKジェトロニックインジェクションが装備されています。L401型エンジンは信頼性には勝るものなしと謡われた名機ですが、その耐久性は群を抜いておりそれに組み合されるのがこれまた耐久性抜群のGM製・ターボハイドラマチックATミッションが組み合わされます。従って壊すのが難しい位のエンジンなのですが、そのフィーリングは至ってジェントルなタッチを持ち、湧き上がるようなトルクをウルトラスムーズに伝えて来るパワー感と力強いエンジンサウンド、その魅力に憑りつかれたらほかのどんな高級車でも色褪せて見えると言われているほどです。

　インテリアは語るに及ばす、最高級のコノリー社製レザーを贅沢に使用して究極の職人技で造りこまれたシートやダッシュパネルのウッド類にはため息が出る程素晴らしいものです。牛10頭分以上使用したレザーは固すぎず柔らか過ぎず、またシートの構造自体も硬質かつ柔軟性を持たせた独特の造りで、いくらロングドライブをこなしても全く疲れません。すべてが手作業で丁寧に作業されており、スイッチや操作系のタッチの繊細な動作感を味わいながらのドライブはまさにロールスロイスだけが持つアナザーワールドです。細目で大径のステアリングは、ほんのわずかに操作しただけでも敏感に反応し、あのボデイーからは想像できないものです。しかし、それでいて高速安定性は意外に良好で、実に不思議なドライブフィーリングですがこれが本物の高級車というものでしょうか。

　ロールスロイスに乗るという事は、イコール本物の高級車に乗る、と言う事に他ならないのですが、そのロールスもこのSZ系のように手作業の連続で手間暇とコストが掛かり過ぎて結果、経営難に陥りBMWに吸収されてしまいました。従って、本物のロールスを体感したかったら、やはりこのSZ系、しかも複雑なコンピューター制御を持たない、89年までのモデルと言う事になります。そしてオーナードライバーとするならやはりショートホイールベースの、このスピリッツに限ります。そのうえでこのレアなシャンパンゴールドのボディカラーとレッドレザーの組み合わせは、実に粋なコンビネーションと言えます。当時、新車でオーダーしたオーナーのセンスの良さを感じます。
シルバースピリッツはロールスロイス社の最期を飾るにふさわしいモデルとしてこれからも記憶されていくでしょう。

現車はコーンズにて1989年に新車として販売されたクルマです。現時点で走行4キロ台はちょうど慣らし運転が終わった位で、まだまだこれから本領発揮と言った所です。

ぜひ一度、そ素晴らしさを体感していただきたいと思います。