Description

大変珍しい、シトロエンDS・ブレークワゴンが入庫して参りました。

　1974年にデビューしたシトロエンGSは、シトロエンとしての大衆車としての位置づけを担うモデルとして開発されました。それはとても先進的なメカニズムに個性的なデザインを与えられており、最終的には1985年まで生産され続けたベストセラーとなり、累計で247万台製造されました。

　ボデイーは空力特性にすぐれたデザインを持ち、シトロエンのチーフデザイナー、ロベール・オプロンの率いる社内チームでデザインされ特にフロント周りやリアホイールアーチの処理に見られるシトロエンらしさ、良好な空力特性、そしてエレガンスを同時に実現した1970年代カーデザインの傑作で、先進性に秀でた素晴らしいデザインといえます。特にこのワゴンモデルのブレークは、独特なリヤハッチの開き方やそのスタイルは他のワゴンモデルと一線を画すものです。

　エンジンはSOHC・4気筒で、当初、1000ccでスタートしましたが、1100、1220ccと拡大されていきました。当モデルはこの1220ccのエンジンが搭載されたタイプになります。これに4速マニュアルミッションが組み合わされ、フライホイールのマスを大きく取り回転のドロップが少ないセッテイングになっており、高速走行は意外にスムーズに回転を上昇させて速度を維持していきます。これに足回りのハイドロニューマチック方式のサスペンションと相まって、例えようのないほど良好な乗り心地を持っており、実に快適に長距離移動できるクルマと言えるでしょう。

　インテリアはいかにもシトロエンらしい厚みのあるシートに先進的なメーターや操作類を持ち、特にボビン式の回転型スピードメーターはその代表的なもの。加えてステアフィールも独特な操作感を持ち、馴れると面白いように操れるようになるのはまさにシトロエン独自の持ち味です。他のどのメーカーのクルマにも似ていない独特のインテリアと操作感はやはり独創的であり、このGSクラブの大きな魅力となっています。すべてのクルマに飽きたらシトロエンに乗れ、とは言い得て妙な言葉です。

　1970年初頭、日本国内には西武自動車が輸入元となってGSも多数輸入されました。諸説ありますが、おそらく6千台以上輸入されたと思われます。勿論、フランス車の輸入台数として最も多いモデルとなります。
　ただし、その現存数は意外に少なく、理由の一つは70年代後半から80年代半ばまでのモデルは、ボデイー鋼板の耐久性が悪く、湿度の高い日本では錆による痛みがひどく、相当数が廃車されたと想像されます。
　従って、状態に良いGSは初期の70年代前半までのタイプか、あるいは海外から並行輸入されて来たクルマになります。当車両もそんな1台で、平成27年に輸入、登録されています。しかも、大変珍しいワゴンタイプのボディーを持つブレークとくれば、これはもう、希少車中の希少車という事になります。
　
　現車はご覧の通り、オリジナルコンディションを保っている良好なクルマです、エンジン・ギアボックス、足回り、サス、ブレーキ関係などすべて正常に機能しており、充分にシトロエンの良さを体感できる1台です。実際にドライブしてみるとさほどアンダーパワーも感じずによく走ると言う印象です。一言でいえば「面白い」あるいは「不思議」と言った所でしょうか。これが気に入れば実に味わい深い長く付き合える相棒となること請け合いです。

是非一度、現車をご覧ください。