Description

1971年ポルシェ911Eクーペをご案内致します。

　この911Eは非常に乗りやすくかつ装備も充実したモデルとして知られています。911Tや911Sと比較して生産台数も少なく希少かつ良好なナロー911をお探しの方でしたら是非ともご覧頂きたい1台です。

　エンジンはオリジナルの2.2L／メカニカル・インジェクションを装備して155馬力／トルクは20Kgにも満たないエンジンですが、1トン少々の軽いボディーにより軽快な運動性能を持っています。スムーズかつシャープな加速感はこのクルマの大きな魅力。また騒音規制や排気ガス規制をける以前のフラットシックスが奏でるエンジンサウンドに包まれながらのドライブは実に爽快。
　初期の2Lエンジンから僅かに拡大されたわけですが、低回転からのトルクも向上して、そのままトップエンドまで一気に回りきる、最も空冷ポルシェらしい時代のユニットといえます。その回転の上昇・下降もとても市販車のものとは思えない鋭さをもっており、実際、160キロまでの加速なら911Sをも上回る程なのです。
　
　これに2ペダルのセミ・オートマチックミッションのスポルトマチックが装備されています。このミッションは当初、長距離レースにも実戦投入してテストされており、耐久性・操作性など折り紙つきのシステムです。マニュアルミッションの楽しさも残しつつ、イージードライブを実現した素晴らしいミッションだと言えます。しかし、当時のユーザーにはあまり理解されず総生産数の僅か1割程度しかチョイスされませんでした。

　インテリアはカーペットからシートまですべて新品交換されていますが、極力オリジナルの状態を維持するように注意が払われています。
カーペットや天井のライナーなどもすべてリニューアルを行いました。ステアリングも巻き直しされており状態は抜群。実にクリーンで綺麗な仕上がりと言えます。
　ガラスやゴム類も勿論交換済みです。また、スピードメーターはキロ表示に変更しました。このまま、もう何も手をつける必要はないでしょう。スポルトマチックによりオーバーではなく、女性でも普通にお乗り頂ける程の乗りやすさ。未経験の方は是非1度お乗り頂きたいと思います。

　また、大変珍しオリーブのボディーカラーは勿論オリジナル。60年代のテイストを感じさせる個性的で味わいのある色です。911Eには乗り心地重視・かつ軽量を目的として14インチのフックスの鍛造アロイホイールが標準装備されていました。その多くが15インチに取り代えられているので、これも今や希少なアイテム。

　さて、この911Eというグレードですが、元々911Lといグレードがそのまま移行したものですが、TとSに挟まれて、中途半端な印象から意外に新車時の人気もあまり無かったようです。僅かな価格差なら多くのユーザーが911Sを選択したでしょうし、それ以外の人も911Tでも充分という判断であったと想像されます。
　
　2.2L時代の911クーペは、Tが9061台、Sが3174台、Eが3059台と各シリーズ中911Ｅがもっとも少ない生産台数でした。それが40年以上を経た現在、一体何台の911Eクーペが存在するかは判りませんが、オリジナルで正しいレストアを受けた固体などはごく限られた台数しか現存しないのではないかと想像します。
　よくポルシェは生産された台数の75パーセント以上が今でも現役である、と言う話を聞きますが、私はナロー911や356に限ってはそれはどうかな？と考えています。まして、レアカラー、スポルトマチック装備の911Eとくれば、探してもまず見つからないのではないでしょうか。

　この機会に是非一度、現車をご覧になって頂きたい1台です。